設立趣旨書

設立趣旨書

1.趣旨

特定非営利活動法人タクローの会は、「津波という自然災害に屈しない」という(高知県民、岩手県民、更には日本国民の意気を発揮するという)指針の下に、2011年の東日本大津波時の経験と知見を活かしつつ、今後南海トラフ大地震時等に起こり得る大津波に備えることを趣旨とします。

先ず第一の活動として、津波災害の大きな東北地方(代表地域:岩手県宮古市田老)と南海トラフ大地震の大津波想定地域(代表地域:高知県幡多郡黒潮町)に津波体験博物館設備を建設し、疑似津波の体験教育を行い、津波対策の知見を集積して伝達教育しながら、併せて過疎に悩む津波災害危険区域の活性化の一助とすることをその趣旨とします。

2011年の東日本大津波以降に、日本国政府機関、地方自治体が数多くの津波防災対策を実施し、成果に繋がっている一方で、大津波が100年に1回程度の頻度で起こっていることから、今後は津波体験の風化や津波対策の風化が高知県や東北の太平洋側各県などで起きてしまうことは避けられない現実だと思われます。津波体験博物館は、そのような風化を最小限に抑える有効な手段であると考えられることから、タクローの会はNPOとして、日本自然災害学会などの貴重な知見を活用しながら、津波体験博物館の建設を是非実行し、公的機関の津波防災対策の補助的な役割を果たしたいと考えるものです。

当法人の名称は、田老からタロという2文字を、黒潮町からクロの2文字を頂き、組み合わせた言葉で作ったもので、田老と黒潮町の津波に屈しない心意気を表す言葉としています。

2.申請に至るまでの経過

設立代表者濵田英外は、高知県幡多郡黒潮町佐賀の出身で、2011年3月11日の東日本大震災時の大津波による被害に対して何か対策を講じていきたいと考えていました。 2012年4月の新聞発表で、南海トラフ大地震が起きると黒潮町に日本最大の34mの津波が襲来するとの予測が発表された。そこで色々と調べてみると、黒潮町佐賀では過去に何度も大津波災害が起きていたことが分かって、災害対策の必要性を更に実感しました。
津波災害対策について詳しく調べて分かったことは、宮古市田老で、1933年3月3日発災の昭和三陸大津波で壊滅的な被害を被った時に、当時の関口村長がその時の津波災害に屈しないという強い意思で、災害時の避難時間を稼ぐために、10m高さの防浪堤を、当時の田老村の海岸線に設置したことであった。田老では、東日本大震災時に津波警報設備の不備があり、多くの人命が損なわれたのは残念でありましたが、この防浪堤が、関口村長の遺志通りに津波の威力を弱め、侵入を遅らせたのは紛れもありませんでした。
2011年の大津波以降、宮古市田老では、大棒秀一氏を始めとして多くの住民が関口村長の意思を引き継いで、NPO法人「立ち上がるぞ!宮古市田老」を設立して活動していることを知り、その活動から、黒潮町の津波対策に繋げられるものを継承していきたいと思いました。
一方で、田老を訪問したり黒潮町に帰郷する度に感じることは「両者とも津波災害が最大規模であるために、それぞれに漁業における著名地(田老は真崎わかめの名産地、黒潮町はカツオ漁船水揚げ日本一の明神丸の母港)でありながら、2011年の東日本大震災と2012年の南海トラフ大地震による津波予想の後、地域の過疎化に歯止めがかかっていない」ことです。
そこで、津波に屈しないということをキーワードとして田老と黒潮町を繋ぎ、津波体験博物館という設備を設置し、疑似津波を通して津波災害を学習したり、知見経験を伝承させながら、周辺地域の津波対策の情報収集の場として活用し、過疎化の進む地域の活性化を図ることを考え、今回の申請に至りました。

タクローの会は、会としての全体と高知県での活動を主体とし、岩手県における活動は主として、NPO法人「津波太郎(旧名:立ち上がるぞ!宮古市田老)」のご協力を仰ぐことを予定しています。

平成29年7月19日

特定非営利活動法人 タクローの会
設立代表者 住所又は居所: 神奈川県藤沢市下土棚198番地の14
氏名: 濵田 英外   ㊞